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【バレーボール】SVリーグ開幕「会場は大フィーバー」報道に違和感

西田有志/Yuji Nishida (ブルテオン), OCTOBER 11, 2024 - Volleyball : 2024-25 SV.LEAGUE match between Suntory Sunbirds Osaka - Osaka Bluteon at the Tokyo Metropolitan Gymnasium in Tokyo, Japan. (Photo by Naoki Morita/AFLO SPORT) クレジット表記 写真:森田直樹/アフロスポーツ
2024年10月11日、東京体育館で行われたSVリーグ開幕戦での西田有志(大阪ブルテオン)=写真:森田直樹/アフロスポーツ
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バレーボールの国内トップリーグ、Vリーグを再編成した「大同生命SVリーグ」男子の開幕戦、サントリーサンバーズ―大阪ブルテオン戦を2024年10月11日、東京体育館で取材した。将来的なプロ化を見据え、2030年までに世界最高峰のリーグを目指す第一歩。その構想のスタートラインにこぎつけた関係者のこれまでの努力には拍手を送る。ただ、それを伝えたマスコミ各社の「盛った」報道が目に余る。「会場は大フィーバー」「最大1万人収容の会場は満員札止めとなり、大観衆で熱気に包まれた」「開幕戦の大成功で、リーグの成功へ方向性は示された」ーー。私の受け止めは少し違う。「大フィーバー」でも「満員」でもなかった。「大成功」とも思えなかった。

目次

試合時間1時間25分、一方的展開で生中継の尺余る

試合は日本代表の西田有志を擁する大阪ブルテオンが、同じく日本代表の高橋藍が新加入したサントリーサンバーズを3-0(25-17,25-19,25-21)のストレートで下した。昨季Vリーグ王者のサントリーと準優勝の大阪ブルテオン。しかも、今夏のパリ五輪代表の人気選手がネット越しに激突する好カードとあって、試合は地上波フジテレビでも生中継された。

ところが、接戦の予想に反して、試合は一方的な展開になった。19時6分に始まった試合は20時31分にあっさり決着。サントリーのオリビエ・キャット監督は「うちのチームはシャイ(内気)できょうはいいパフォーマンスが見せられなかった」と記者会見で弁明した超短時間決着に、中継関係者がため息をついた。「尺が余ってしまいました。中継は20時54分までだったのに。試合は生ものですが、もっと競り合う試合を期待していました」(下に記事が続きます)

「満員札止め」のギャップ、来場公式発表6,513人

開幕戦のチケットはコートサイド1列目で最高額の8万円の席をはじめ、発売開始から約1時間半で完売していた。当日券はなし。通常、東京体育館でバレーボールを開催する場合、約9,300人が収容できるが、来場者の公式発表は6,513人だった。

主審の後方には明らかに空席のブロックがあり、「満員札止め」の報道と、実際に目視した実感とはギャップがあった。実際には招待客のノーショーや、演出の関係でそのブロック自体が販売されなかった可能性もあるが、先行抽選販売で漏れてチケットを入手できなかったファンには不満が募っただろう。

ちなみにペン記者の私が取材できた席は、ボールのイン・アウトや選手の背番号も判別しにくい、電源も机もないコートに最も遠い2階端のブロックだった。サーブを放つ選手の背後の至近距離から取材できるイタリア・セリエAなどでは考えられないことだ。

どこが「大フィーバー」?

開幕戦を取材して私が最も違和感を覚えたこと。それは、報道されている「大フィーバー」という表現だ。バレーボールのリーグ戦にしては、異例の観客数には違いない。しかし、レギュレーション上できないとはいえ、野球やサッカーのような鳴り物応援もなく、チャントも応援歌も響かない。試合中の会場で感じたのはむしろ静けさだ。

バスケットボールのBリーグのようにチアリーダーもいない。食べたり、飲んだりしながら楽しんでいる人も見当たらない。家族連れ、子どもが少ない。一方的で味気なかった試合のせいもあるが、アリーナに「パッション」や「熱気」を感じなかったのだ。

Jリーグで常務理事などを歴任し、Bリーグの草創期にチェアマンを務めた大河正明チェアマンは試合後の記者会見で物足りなかった「熱気」について触れるような発言をした。「我々は品格を重視すると常々いいますが、品格といいますか、お行儀が良すぎた」。

さらに、チェアマン自らが主導した2016年9月のバスケットボールBリーグ開幕戦を引き合いに出して「Bリーグ開幕戦のアルバルク東京、琉球ゴールデンキングスの時とは異なり、きょうのコート付近の客席はほぼ女性。それがファミリー層やバレーボールを昔やっていた男性が、世界一流のプレーを見たいと思って来てくれるようになれば、もっともっと発展すると思う」とも語った。

8年前、Bリーグ開幕の熱気

私は8年前、Bリーグ開幕戦を国立代々木第一競技場でBリーグ開幕戦も取材している。LEDパネルが敷き詰められたコートでコンピューターグラフィクス(CG)が選手の動きに合わせて変化する演出に度肝を抜かれた。巨大バスケットボールがコートにめり込む演出は今でも鮮明に記憶に残っている。あの時の接戦。あの熱気。あの非日常空間。

それと比べてしまうからか、前夜のSVリーグ開幕戦は「大フィーバー」とも「大成功」とも決して思えないのである。

SVリーグは男子10チーム、女子14チームが参戦する。男子は6、女子は8チームが2025年4月から5月にかけて行われるチャンピオンシップに進出し、初代優勝チームを決める。女子は10月12日、NEC川崎-埼玉上尾で開幕する。

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コメント一覧 (15件)

  • 審判の真後ろの席は、見づらいためそもそも売り出していないようです。もっとアピールがあればわかりやすかったかもしれませんね。ただ、調べもせず勝手にコメントするだけなのはどうかと思います。
    また、記事では一方的とありましたがサントリーに流れも行ったりしていたし、面白いラリーもしっかりあって私は楽しかったです。そしてファミリー層が今ないからと言って否定するのは違うと思います。ここは入り口で、今のファンの方からどんどん広げていきたいというところだと思います。さらに、バスケやサッカーは時間が決まっているスポーツだし観客も見やすいスポーツなので、そこと比べるのは違うと思います。
    バレーボールという球技へのリスペクトがあまり感じられず嫌な気分になりました。

    • こぴやんさま、貴重なご意見をお寄せいただきありがとうございました。
      SVリーグの今後の発展を思って感じたままを書きましたが、取材の甘さや言葉遣いにおいて、反省すべき点もあります。ご指摘いただいた点を今後の取材、執筆の糧にさせていただきます。

  • 記事ありがとうございます。

    バレーボールファンとしては複雑な心境で
    読んでいました。
    原田さんが感じられたことは
    間違ってないのかも知れません。

    ただ1つ考えていただきたかったことがあります。

    「大フィーバー」とも「大成功」とも決して思えないのである。
    という一文がありましたが…

    原田さんにとってバレーボールSVリーグの
    「大フィーバー」「大成功」とは
    どういう状態のことを言うのでしょうか。

    チアリーダーがいて、
    飲食しながら楽しんでいる人がいて、
    家族連れの人がいる
    =「大フィーバー」「大成功」なのでしょうか。

    バスケットボールBリーグと比較して
    バレーボールSVリーグは盛り上がってなかった
    ということですが、
    競技によって応援の仕方や特徴は違うと思います。

    批判しているわけではありません。

    原田さんが感じられた記事+αで
    バレーボールSVリーグが今後どうしたら
    大成功フィーバーになるか一緒に考えていきたいです。

    • takeさま、貴重なご意見をお寄せいただきありがとうございました。
      SVリーグの今後の発展を思って感じたままを書きましたが、取材の甘さや言葉遣いにおいて、反省すべき点もあります。ご指摘いただいた点を今後の取材、執筆の糧にさせていただきます。

  • 批判ばかりで建設的な意見のない残念な記事でした。まだまだ国民的スポーツとは言えない中、JVAや選手が必死に盛り上げようと頑張っている中であまりにも冷酷な見方だと感じます。

    鳴り物応援なども、野球やサッカーのような屋外スポーツと同じように行えば選手にとって騒音になる可能性もあります。スポーツ記者さんであれば考えられるのではないでしょうか?

    席などに不満があってそれを記事にぶつけたかったのかなぁと思いましたが、あまりにも個人の主観頼りの視座の低い記事でした。

    今後は下がるばかりではなく、未来への展望や投資など、長い目で物事を捉えた価値のある記事を期待しています。

    • 田中麻衣さま、貴重なご意見をお寄せいただきありがとうございました。
      SVリーグの今後の発展を思って感じたままを書きましたが、取材の甘さや言葉遣いにおいて、反省すべき点もあります。ご指摘いただいた点を今後の取材、執筆の糧にさせていただきます。

  • バレーボール観戦あの審判がわにはきゃくいれないとか みずらいですよね と私はおもったのですが 

    • チャコさま、貴重なご意見をお寄せいただきありがとうございました。ご指摘いただいた点を今後の取材、執筆の糧にさせていただきます。

  • 申し訳ないが
    他競技と比較して盛り上がらなかったと
    言うのならどうしたらSVリーグが盛り上がるのか述べてほしい。
    スポーツジャーナリストの方だからこそ
    この気持ち理解してくれますか。
    ぞんざいに扱われた腹いせ記事にしか思えない

    • 金子さま、貴重なご意見をお寄せいただきありがとうございました。
      SVリーグの今後の発展を思って感じたままを書きましたが、取材の甘さや言葉遣いにおいて、反省すべき点もあります。ご指摘いただいた点を今後の取材、執筆の糧にさせていただきます。

  • 大袈裟な内容になることを
    ご了承下さい。

    東京体育館の会場に入りたくても
    入れなかった73歳の男です。
    中学生でバレーボールと出会い
    自身もプレーヤーとして汗を流し、
    男女全日本を応援して60年が立ちました。

    自身がプレーすることが難しくなった今、
    私にとってこれからの生きがいは
    バレーボール観戦です。
    そしてオリンピックで男女ともに
    またメダルを獲得する瞬間を見たい
    と強く感じながら生きています。
    残りオリンピックを何回見れるのか考え、
    もう1度全日本に夢を託しています。

    そのバレーボール愛が強い私にとって
    日本で遅ればせながらようやく
    バレーボールのプロリーグ化を目指す
    SVリーグが始動したことは
    感無量の想いで見つめた歴史的な日でした。

    このSVリーグの発足はきっと全日本を
    強くさせてくれる取り組みで
    男女ともにオリンピックのメダルを
    また日本に持ち帰ってきてくれると
    確信した日でもありました。

    この記事を書かれた原田さんと
    私の温度差に深い悲しみと虚しさを覚え、
    失礼ながらコメントさせていただきました。

    バレーボール愛を持った多くの人が
    目に留まる場所でこのような
    記事を書かれると非常に残念です。
    ましてや、原田さんのお仕事は
    バレーボールの魅力を多くの人に
    伝えていける立場でもあるはずです。

    他の方もコメントで書かれていますが、
    盛り上がらなかったと感じられたのなら
    どうしたらもっと魅力が伝わるのか、
    最後に述べてほしかったです。

    私はその会場の雰囲気すら
    味わうことが出来ませんでした。
    お仕事とはいえ、
    席が良くなかったとはいえ、
    原田さんがうらやましい限りです。

    どうかバレーボールを好きな人を
    悲しませないで下さい。
    歴史的な1日を傷つけないで下さい。

    このコメントは自己満足に過ぎないです。
    でもごめんなさい。
    我慢できませんでした。

    バレーボールを取り上げて下さり
    ありがとうございます。

    「ペンで、心を動かす」
    応援しています。

    • 榊原浩さま、貴重なご意見をお寄せいただきありがとうございました。榊原さんの思い、受け止めました。私もバレ―ボールが大好きです。SVリーグの今後の発展を思って感じたままを書きましたが、取材の甘さや言葉遣いにおいて、反省すべき点もあります。ご指摘いただいた点を今後の取材、執筆の糧にさせていただきます。

  • 率直な問題提起、ありがとうございます。私は原田さんの記事を読んでいて、嬉しくなりました。最近はバレーボール界隈から離れていたので直近の状況はわかりませんが、こういった問題点を指摘する記事はバレー界ではほとんど目にすることがなかったので。
    自分と違うものや批判的な意見を、見ないようにしたり排除したりするようなところには、成長は無いと思います。

    これからも臆することなく、原田さんの視点での記事を期待しています。いろいろなコメントが付くと思いますが、原田さんもコメントする側もお互いに違いを知り、成長できる機会になるかと思いますので。

    • 村山様、ご意見ありがとうございました。「記事を読んで嬉しくなりました」なんて、この場にコメントしてくだったこと自体、とても勇気がいることだったと思いますが、村山さんのコメントに私は救われました。しかもバレー界に携わっていた方にコメントいただき、背筋が伸びる思いです。バレー界発展のために、是々非々のスタンスで取材して参ります。本当にありがとうございました。

      • 返信ありがとうございます。単なる一ファンですので、恐縮です。

        Jリーグが始まったころ、ダイジェストやマガジンといったサッカー専門誌の「辛口」の論調や海外リーグの記事を興味深く読み、「なぜバレーにはこういったメディアが無いのだろう」と思い、自分が伝える側になろうかと思ったこともあった人間ですので、原田さんを始めとする皆様がバレーボールを伝えて下さること(その背景として近年の代表の躍進があると思いますが)を大変有り難く思っています。

        これからもよろしくお願い致します。

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