男子サッカー日本代表の攻撃陣に故障者が続出している。2026年6月11日に開幕する北中米ワールドカップまで半年を切っており、チームの完成度を高める時期に突入しているが、なかなか主力がそろう見通しが立たない。
この難局をサムライブルーは、どの様に乗り切って本大会を迎えればよいのだろうか。
南野・久保の両シャドーが不在
クリスタル・パレスFCの鎌田大地(29)は、12月14日プレミアリーグのマンチェスター・シティ戦で、右大腿部の裏(ハムストリング)を負傷し、少なく見積もっても8週間〜10週間は戦線離脱することがクラブから発表された。
また、森保ジャパンで70試合26得点という最多出場・最多得点を記録していたASモナコの南野拓実(31)が、12月21日クープ・ドゥ・フランス(フランス杯)AJオセール戦で左膝前十字靭帯断裂という重傷を負った。
膝前十字靭帯を断裂すると、復帰まで8カ月〜10カ月を要するのが通例だ。2026年6月に開幕する北中米ワールドカップのピッチにもし南野拓実が立つことになったら、人々は奇跡と呼ぶだろう。
年が明けて2026年に入ると、レアル・ソシエダの久保健英(24)が1月18日、スペイン・ラ・リーガのFCバルセロナ戦で、左大腿部の裏(ハムストリング)を負傷。自力で立ち上がることができずに担架でピッチを後にした。
精密検査の結果、当初の見立てより深刻で復帰には数週間を要することがクラブから発表された。年末年始にかけて過密日程で多忙を極めたため、一時帰国して日本で静養して、仕切り直してリハビリを行う。
鎌田大地は、順調にいけば3月末に英国で行われるスコットランドとイングランドとの国際親善試合には間に合う可能性はある。ロンドンを本拠地とするクラブでプレーしているだけに対戦に向けて気持ちは昂ぶっていることだろう。
久保健英のケガが鎌田大地と同等の重症だとしたら、3月の2連戦までに完全に復調するかは微妙なところだ。夏の本大会から逆算したら、たとえ間に合うとしても無理をすべきタイミングではない。
中盤と前線をつなぐパーツ
第2次森保ジャパンがワールドカップ・アジア予選とその後の本大会に向けた強豪国とのテストマッチで多用してきたシステム【3-4-2-1】には中盤と前線のつなぎ役となる選手が多く配置されている。
その代表格が南野拓実であり、久保健英だった。
鎌田大地は、自身のベストポジションをボランチ(守備的MF)だとしており、最近はクラブでもこのポジションを任されることが多い。しかし、攻撃センスや得点力も高いことから、これまで攻撃的MFでも起用されてきた。
攻撃陣に多数の故障者が出ており、さらには守備的MFのポジションは佐野海舟など新戦力が頭角を現している。そのため、鎌田大地を少し前目の位置に押し上げるような力学が代表チーム内で働いている。
控え選手のテスト
同じポジションに故障者が続出しているこのタイミングは、SCフライブルクの鈴木唯人(24)にとって自分を実戦で証明するチャンスだ。
NECナイメヘンの小川航基(28)やボルシア・メンヒェングラートバッハの町野修斗(26)といったストライカータイプの選手を配置することも考えられる。
しかし、アタッカーは試合終盤の切り札としてとっておきたい考え方もある。
伊東 ・中村の旧友タッグ
仮に鎌田大地が3月の国際試合に間に合わなければ、このポジションにさらに人材が必要になってくる。
そこで俄然、注目したいのがKRCヘンクの伊東純也(32)とスタッド・ランスの中村敬斗(25)だ。
歴史的初勝利を収めた2015年10月14日のブラジル戦で2アシストの大活躍を見せながらも右足を負傷した伊東純也は、数カ月間のリハビリを経て実戦に復帰している。
伊東純也は2022年から2025年まで、中村敬斗は2023年からスタッド・ランスでプレー。2025年夏にリーグ・ドゥ(フランス2部)降格の憂き目にあい、チームが散り散りになったが、それまで2シーズンに渡りリーグ・アン(フランス1部)で共に戦った仲で、類まれなコンビネーションと信頼関係で結ばれている。
二人は左右に離れてプレーすることが多く、直接パスを交わす機会は決して多くないが、それでも得点をアシストするような連携を見せる。
中村敬斗は左サイドでプレーすることが多かったが、最近は攻撃の様々なポジションでプレーの幅を広げている。より中央に寄った位置取りをすれば、右サイドの伊東純也と絡むシーンも増えてくるだろう。
三笘・堂安の両ウイングバック
ブライト・アンド・ホーヴ・アルビオンの左ウインガー三笘薫(28)を中央に入れて、その攻撃力を生かす手もある。しかし、伊東純也との組み合わせでは、中村敬斗に一日の長がある。
適任者ながら言及していなかった選手にアイントハト・フランクフルトの堂安律(27)がいる。元来は攻撃を得意とするミッドフィルダーだが、クラブでも代表でも抜群の機動力とタッチライン際でのデュエルの強さを見せてウィングバックとして新境地を切り開いている。逆に前方に戻すのがもったいないという印象すらある。しかし、有事にあっては、慣れ親しんだ攻撃的MFの役割をまっとうすることだろう。
空いたアウトサイドは?
空いた右ウイングバックは、ヴェルダー・ブレーメンの菅原由勢(25)やFCコペンハーゲンの鈴木淳之介(22)がフィットする。
鈴木淳之介は、守備的なポジションのほぼ全てで高いレベルのパフォーマンスを発揮し、さらにはパスと攻撃のセンスも優れている。突然の負傷者といった緊急事態や戦術変更の際にチームに多くの選択肢をもたらしてくれる頼もしい存在だ。
当初は育成枠的な位置づけで代表に召集されていた若手有望株のファジアーノ岡山FC佐藤龍之介(19)もいる。若いだけあって残り半年の間に劇的な成長を遂げることがあれば、小野伸二に次ぐ日本代表で2人目の十代でのワールドカップ出場も見えてくるだろう。

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