サッカー日本代表は、北中米ワールドカップ・アジア予選で、攻撃の課題が明らかになった。この問題は、世界の強豪国と対戦した際に顕著化する可能性がある。
「日本が2026年ワールドカップで好成績を収めることができるか」という問いに対しては「分からない」というのが率直な答えだ。ワールドカップ本大会が2026年6~7月に迫るなか、なぜそのような曖昧なことしか言えないのだろうか。日本代表が世界一を目指すために、この1年間で解像度を高める必要がある事案について考えてみよう。
アジアでの戦いでは日本の実力未知数
アジアの戦いで、守りを固める相手に対して攻めきれないという課題が露呈した。それに対して今後、解決策を模索することになる。一方で、日本と対等かそれ以上に攻めてくる相手にはどうだろうか。
守りを固めてくる相手より、攻め入るスペースは与えてくれるが、そもそも実力があるから前に出てくるのだ。そのような有力国と攻め合って勝ち切ることができる底力が今の日本代表にあるだろうか。史上最強と言われているが、最近の試合はアジアでばかりだったため、未知数だと言わざるをえない。
顕在化していないが考慮しなければならないのが、守備だ。アジアでの戦いで噴出した課題は攻撃に関するものが多かった。「勝って当然なのに、なぜ勝てないのか」という問答だ。
守備については、問題がなかったと言うよりは「問題が出なかった」という方が正しいだろう。日本はアジアにおいて実力が頭一つ飛び抜けているからだ。あまり語られていないが、実のところ日本の守備は本当のテストに晒されていない。
もちろん、失点や崩されたシーンについては改善点がある。「逆足でキックをすべきだった」「1対1で負けていた」「マークが外れた」といった局所的な改善だ。
しかし、強豪国と対戦した時に、抜本的にチーム全体の守備を見直さなければならない状況が出てくることも考えられる。これまでアジアカップとワールドカップ・アジア予選を戦ってきた日本は、長らくアジア地域にかかりきりになっていたため、そのような試練をしばらく体験していないのだ。
逆に世界の一流選手たちを擁するチームをシャットアウトできれば、日本代表は守備の自信が深まることになる。(下に記事が続きます)
数年間ワールドクラスとの対戦なし
世界的な強豪相手との最近の対戦は、2023年のキリンチャレンジカップ、ウルグアイ戦(1-1)、コロンビア戦(1-2)、トルコ戦(4-2)、チュニジア戦(2-0)、そしてドイツ戦(4-1)などがある。それ以前だと2022年カタール・ワールドカップにまで、さかのぼらなければならない。つまり、日本代表はこの数年間、大国と対戦していないのだ。
森保ジャパンは第2次体制に突入している長期政権であり、過去からの蓄積があるが、チームも選手も生き物であり常に変化し続ける。
欧州や南米では、公式戦で常日頃から世界レベルのチームと対戦する機会がある。これは日本がアジアにあるがゆえに抱えているディスアドバンテージだが、世界のトップになるには、この格差を乗り越えていかなければならない。
日本代表チームの強豪国との試合経験は慢性的に不足している。その改善策の一つが海外ビッグクラブでのプレーだ。代表チームの経験不足を選手個人の経験で補う。欧州5大リーグ、さらにはその主要クラブでプレーすることで、選手個々のレベルを高め、それを代表に還元させるのだ。
欧州サッカー連盟(UEFA)のスケジュールが過密になり、ヨーロッパの強豪国と親善試合をする機会は、なかなか確保できなくなった。今後の1年間は日本にとってワールドカップを戦うための準備期間となる。本大会まで限られた時間の中で、少しでも多くの強豪国と試合をすることが重要だ。(下に記事が続きます)
パラグアイ戦は追試、さらなる強豪との試合を
日本サッカー協会(JFA)は、男子日本代表がキリンチャレンジカップ2025において10月10日に市立吹田サッカースタジアム(大阪)でパラグアイ代表と対戦することを発表した。
パラグアイとの前回の対戦は2022年6月2日で、日本が 4‑1で勝利している。仮想コスタリカという位置づけだったが、2022年カタール・ワールドカップのグループステージでは白星が一番期待された試合ながら日本は0-1で敗れた。
パラグアイは南米の中堅国で、伝統的に堅守速攻が得意なチームだ。南米でブラジル、アルゼンチンといった世界的な強豪を相手に日常的に真剣勝負を行っている経験値や勝負強さは侮れない。
ワールドカップ・アジア予選の追試的な試合に位置づけることができるだろう。ある程度の実力があるチームが守備を固めると攻め手がなくなるという課題を日本が克服できるかに注目だ。
パラグアイ戦後は、さらなる強豪との対戦が組まれることが期待される。森保一監督もそのつもりでリクエストを出しているようで、方向性に間違いはないだろう。
対戦国の情報:パラグアイ代表
- FIFAランキング(2025年4月3日時点):48位
- 日本代表の過去の対戦成績:5勝2敗4分(15得点10失点)
- ワールドカップは、2010年南アフリカ大会で日本と0-0ドローでPK戦の末に勝利しベスト8に進出したのが最高位。コパ・アメリカ(南米選手権)は、1953年と1979年に優勝。
森保監督「強豪国との対戦ありがたい」
森保 一 SAMURAI BLUE(日本代表)監督コメント:9月のアメリカ代表、メキシコ代表に続き、パラグアイ代表という強豪国との対戦をありがたく思います。FIFAワールドカップでの戦いにおいて世界一を実現するためには、勝負強く試合巧者である南米の国々に対しても勝利を挙げていかなければなりません。この試合もまた来年に向けた準備における重要な試合として、大事に戦ってまいります。また約2年ぶりとなるキリンチャレンジカップに臨めることを嬉しく思います。9月のアメリカ遠征後は、この試合を皮切りに年内4試合を日本国内で戦います。一人でも多くの方にスタジアムへ足を運んでいただき、ワールドカップに向けて日本一丸、共闘の輪を広げ最高の景色を見たいと思います。
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