ハンドボール男子日本代表(彗星JAPAN)がアジアを獲りに行く。2026年1月15日にクウェートで開幕するAHF男子アジア選手権に向けての国内最終合宿は、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで年末から越年で続き、1月6日に打ち上げる。代表18人はその後、サウジアラビアでの最終調整を経て、決戦の地クウェートに乗り込む。前回準優勝の日本は、上位4チームが獲得する第30回IHF男子世界選手権(2027年1月、ドイツ)の出場権を確保するのは当然のこと、アジア6連覇中のカタールの牙城を崩し、20大会ぶりの優勝を目指す。相手エースと対峙するディフェンスのキーマン、RW櫻井睦哉(26)=トヨタ車体ブレイヴキングス刈谷=も静かに奮い立っている。
出るか立体ディフェンス

報道陣に公開された年末12月29日の代表合宿。トニー・ジェローナ監督は自陣の6mラインに沿って6人の選手が横一列に並ぶ基本ディフェンスに加え、櫻井や水町孝太郎(豊田合成ブルーファルコン名古屋)、部井久アダム勇樹(ジークスター東京)らを高い位置で守らせ、相手のバックプレーヤーにハイプレッシャーをかける立体ディフェンスの確認に時間を割いた。アジア選手権でも相手や状況に応じて、この変則ディフェンスで揺さぶる時間帯がありそうだ。(下に記事が続きます)
高身長で速いウイングは「世界の潮流」
「大きくて動けるのが自分の強みです。ポイント、ポイントで前に出て上3枚がハードワークして、流れを自分たちに引き寄せたり、相手のミスを誘ったりするのが狙いです」。櫻井は高い位置でのディフェンスの狙いを説明した。
190センチ、91キロの櫻井は、長いリーチに加え、そのサイズに見合わぬ敏捷さを兼ね備えている。大きくて、速い櫻井がディフェンスで前に出ると、その威圧感はさらに増す。攻撃面では昨シーズンのリーグH25試合で52得点をたたき出したサイドシュートもある。2028年ロサンゼルス五輪の出場権獲得を目指す日本代表にとって、替えのきかない中心選手になるのは間違いない。
女子日本代表のモーテン・ソウバク監督が話していた。「世界の男子ハンドボールは、身体能力が高く、そして速く、背が高いウイングプレイヤーが活躍する流れがある。そして彼らはディフェンスでも要となっている。遅かれ早かれ女子もそうなる」と。その指摘のように、大型RW(ライトウィング)で、いわゆる中を守れるサイドとしての揺るぎない櫻井の存在は、日本チームが有する数少ない「世界標準」の一つといえる。(下に記事が続きます)
体作りの基本、藤代紫水高校時代に
「大きくて動ける」櫻井の体作りの原点はどこにあるのか。それは、茨城県立藤代紫水高校時代からの積み重ねだという。
「高校で食事の大切さを学びました。栄養講習を開いていただいて、炭水化物、タンパク質、脂質やビタミン、カルシウムなどをバランスよく、継続して取ることを学んで、習慣づけた。それはいまも自分の体作りの基盤になっています」と櫻井。「プレー面でも高校時代に教わったことをよく思い出します。スキルよりも、基本に忠実なことが大切だと教わったので、いまも困ったときや迷った時に、そこに立ち返るようにしています」(下に記事が続きます)
7年前のU21でイラン、サウジに負けなし
アジア選手権の予選ラウンドでグループDに入った日本はオーストラリア、サウジアラビア、イランとまず対戦する。7年前の2018年、明大時代の櫻井はU21(21歳以下)日本代表としてオマーンで開かれたアジアジュニア選手権に出場、サウジ、イランと対戦した経験がある。サウジ戦は自身で2得点をマークして26-23で勝った。イラン戦はチーム最多タイの5得点を挙げたものの、19-19で引き分けた。「懐かしいですね。サウジアラビアはディフェンスのシステムが緻密で、7人攻撃も仕掛けてくる。タクティカル(戦略的)なイメージがあります。イランも7年前は同じ世代で同レベルだったので、今回はどうなるか。気は抜けないですが、楽しみです」(下に記事が続きます)
インカレ初優勝の母校から勇気

後輩たちからも勇気をもらった。櫻井の母校、明大は2025年11月、全日本学生ハンドボール選手権大会(日本インカレ)で創部87年目にして初優勝を遂げた。試合を気にかけていたという櫻井は、「明大は自分たちの時代から選手主体でコミュニケーションを重ねながらチーム作りをしていました。連携や協調性がかみ合った結果だと思います。個人個人も球もちがよく、すごく上手で、どんどんうまくなっているなとうれしく感じました。12月の日本選手権(広島市)でも一時、(リーグHの)ジークスター東京と競り合っていて頼もしかったですね」
1月15日開幕のアジア選手権。今度は日の丸を背負う櫻井が攻守の中心として活躍し、後輩たちを勇気づける番だ。
櫻井 睦哉(さくらい・ともや)1999年10月18日、茨城県かすみがうら市生まれ。小学生時代にかすみがうら市・新治クラブでハンドボールを始め、かすみがうら市立千代田中、茨城県立藤代紫水高、明大を経てトヨタ車体ブレイヴキングス刈谷所属。2024年パリ五輪代表。190センチ、91キロ。左利き。代表での背番号は4。
【男子アジア選手権の出場チームとグループ】
- グループ A:カタール、韓国、オマーン
- グループ B:バーレーン、イラク、中国、ヨルダン
- グループC:クウェート、UAE、香港、インド
- グループD:日本、イラン、サウジアラビア、オーストラリア
※出場15チームがA~Dの4グループに分かれてリーグ戦を行う。各グループ上位2チームがメインラウンドに進出、メインラウンドでは予選ラウンド各グループの上位2チーム(計8チーム)が、2グループに分かれてリーグ戦を行う。各グループの上位2チームが準決勝に進出する。


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